Technology - HanabiAI

Robot Brain Technology

ロボットブレイン:チップからアプリケーションまでのフルスタック技術

私たちは「ロボットブレイン」をチップ(Chip)、プラットフォーム(Platform)、モデル(Models)、モジュール(Modules)、アプリケーション(Applications)という5つのレイヤーに分解し、エンボディド開発者がそのまま利用できる完全なエコシステムを構築しています。

Embodied AI SoC

エンボディドのシナリオ要件を起点に、マルチモーダル、リアルタイム性、低消費電力、豊富なインターフェースを備えたチップを設計します。

なぜ自社のエンボディド AI SoC を開発するのか

汎用エッジチップは初期の実験を支えることはできますが、大規模展開・長期運用・コスト構造を本気で議論し始めると、エンボディドロボットにはチップに対して非常に具体的な要件が存在します。

視覚・言語・動作など、多様なモダリティを同時に処理すること。
限られた体積と放熱条件の中で、長時間安定して動作すること。
リアルタイム性と安全性に厳しい制約があること。
将来のアルゴリズム更新に備えて余裕を確保すること。

これらの観点から、私たちはエンボディドAIロボット向け専用 SoC を自社設計する方針を選びました。実世界のエンボディドAIに必要な計算要件や長期的な演算計画を、チップ設計の起点に組み込むためです。また、外部ソリューションに全面的に依存せず自社開発を選択した理由は、IC 設計・プロセス開発・モジュール製造までを担える技術・管理チームが社内に既に整っており、主要メンバーが複数のチップ/モジュールの量産化を成功させてきた実績を持つためです。

チップレイヤーでの注目ポイント

チップレイヤーでは、主にシステムレベルの要件と制約に焦点を当てています。

演算能力とタスク分布の要件

  • エンボディドにおける認識・判断・制御タスク間のおおまかな演算需要の比率
  • オンライン推論とローカルでの学習/微調整との協調関係

ストレージとデータフローのパターン

  • ロボットブレイン内部におけるマルチモーダルデータの流通経路
  • 意思決定パスの中で遅延に敏感な部分をどのように優先的に保証するか

消費電力と熱設計の制約

  • 多様な長時間稼働シナリオにおける典型的な消費電力の予算配分
  • 異なる物理環境下で、安全かつ安定して長時間稼働するための設計指針

ソフトウェアスタックと SoC のインターフェース

  • プラットフォーム側でのトレーニングやモデルエクスポートと、SoC 側での実行が長期にわたって連携できるよう、安定した上位インタフェースを設計すること。
  • 上位ソフトウェアを固定化しすぎない前提で、低レイヤーの最適化パスを通じて専用 SoC の演算性能を最大限に引き出すこと。

これらのシステムレベルの要件と制約は、私たちのエンボディド AI SoC の設計と進化を今後も継続的に方向づけていきます。

エンボディド AI SoC の役割

HanabiAI にとって、エンボディド AI SoC は単なる 1 つのチップではなく、技術スタック全体を支える「基盤的な支点」と位置づけています。

下方向:製造エコシステム、パッケージングおよびモジュールパートナーとの連携

上方向:プラットフォームのトレーニング/評価における典型的なタスク負荷とのアラインメント

側方向:モデル層およびモジュール層の進化に対して、演算能力と消費電力の境界を提供すること

Embodied AI Compute Platform

HPC・AI・エンボディドのワークフローをつなぐ

プラットフォームとは何か

プラットフォーム は、大学・研究機関・R&D チームのために構築した汎用コンピュートプラットフォームであり、多様な形態の計算タスクを統合的に管理・スケジューリングするための基盤です。

  • 従来型 HPC シミュレーションおよび数値計算
  • 機械学習・深層学習のトレーニング/推論
  • 大規模バッチ処理およびデータ前処理
  • エンボディドロボット向けのシミュレーションおよび強化学習タスク

研究とエンジニアリングのための HPCとAI 統合コンピュートプラットフォームであり、エンボディドのシナリオに重点最適化を施しつつ、用途はそれにとどまりません。

Platform: From General HPC & AI to Embodied Development

汎用的な計算基盤を土台とし、エンボディド向けにより効率的なシミュレーション―トレーニング―評価の体験を提供します。

タスクの統合的な提出と管理

HPC シミュレーションであれ AI トレーニングであれ、同じ入口から

タスクを提出・キューイング・進捗確認でき、ユーザーはシステム

ごとに異なる環境やスクリプトへ個別対応する必要がありません。

マルチクラスタ・マルチ環境の管理

複数のクラスタ/異なるパーティション/クラウドリソースに対

応し、単一のビューでリソース使用状況とタスクキューを確認で

きます。

基礎的なオブザーバビリティとログ集約

タスクの状態、リソース使用状況、主要ログを一元的に可視化

し、研究の再現性向上や運用・トラブルシューティングを容易に

します。

大規模並列シミュレーションとシナリオ管理

エンボディドAIのシミュレーションタスクとシーンデータを一元管

理し、複数シーンの同時生成・再生に対応します。

強化学習/模倣ベース学習のトレーニング運用

エンボディドのシミュレーションタスクとシナリオデータを管

理し、複数シナリオの並列生成およびリプレイに対応します。

ポリシー評価と Sim-to-Real 検証のクローズドループ

リシー評価、比較リプレイ、移行検証を一元的に実行し、 「シ

ミュレーション → 実機検証 → 再イテレーション」のサイクルを短

縮します。

Embodied Intelligence Models

ポリシー・認識・メモリの協調と継続的な学習イテレーション

モデル図表

モデルの研究方向

  • ポリシーをどのように表現すれば、シミュレーションと実機のあいだを滑らかに移行できるのか
  • マルチモーダルな認識と長期メモリを、エンボディドなシーンの中でどのように連携させるか
  • 統一されたインタフェースを通じて、異なるモジュールやロボット形態においても、ロボットブレインのロジックをどのように一貫させるか

モデル層では、「何でもできる汎用大規模モデル」を目指すのではなく、エンボディドのシナリオに特化した重点的な研究に取り組んでいます。

Embodied AI Module Kit

ロボットブレインを統合可能な計算モジュールとしてパッケージ化し、多様なタイプのサービスロボット本体と柔軟に接続できるようにします。

エンボディドの開発と検証をシンプルにする

  • 標準化されたインタフェースと拡張性
  • 長期的な進化を見据えたアーキテクチャ設設計
  • 保守性・診断性に優れたランタイム基盤

SoC の量産やモジュール設計・製造におけるチームの経験を踏まえ、当初から「開発キットから量産モジュールへスムーズに移行できる」設計方針でプランニングを行っています。

モデル図表

Embodied AI Robot

巡回・ガイド(パトロール/ツアー)のシナリオを基盤に、フルスタック技術の能力を検証し、エンボディドロボット向けのサービスアプリケーションテンプレートを構築します。

ロボット図表

私たちが検証している方向性

  • キャンパス/キャンパスエリア/公共空間における巡回・パトロール
  • 展示ホールや病院などでの案内・同行サポート
  • マルチロボット協調・スケジューリングの実現可能性

私たちは、エンボディド技術がより多くの実用価値を生み、多様なシーンに対してより高い汎化能力を提供できることを願っています。